Nhạc nềnRetroRoman_Battle2

廃墟に眠る実験体

Audio truyện
Chưa có audio. Bấm để tự tạo audio cho tập này.

「ズズ……、ズズ……」

暗黒の通路。その奥から響くのは、金属を引きずるような不気味な足音と、肺腑を掻き毟るような獣の呻き声だった。

アポカリプス・タワー地下三階、第一世代炉心保管庫の前に広がる閉鎖空間。天井の配管から漏れ出る青白いエーテルガスが、霧のように立ち込め、吸い込むだけで肺をじりじりと焼き焦がしていく。


「レイ、気をつけて……。奴から感じるエネルギー波形、異常よ。既存のどの能力者とも違う……」

赤髪のハッカー、クレア・バレットが、電子ゴーグルを押さえながら苦しげに呟いた。彼女の鼻からは、過度なハッキング演算による負荷でツッと赤い血が流れ落ちている。

その横では、相棒の「鉄腕のゲン」が、大破して沈黙した右腕「アイアンフィスト」を左手で抱え、壁に背を預けていた。

「クソ、こんな時に俺の右腕が動いてくれりゃあな。レイ、無理はするなよ。お前の寿命だって、もう……」


レイは無言で自身の胸元に手を当てた。衣服の隙間から漏れ出る不適合炉心(アポカリプス・コア)の光は、不安定な青い火花を散らし、激しい軋み音を立てている。

『生存時間の視覚化(クロノ・アイ)』。

漆黒に変質したレイの両瞳が、暗闇の奥を射抜いた。

青白い霧を切り裂き、そこに姿を現した影。それは、肉体の半分以上が異様な黒い機械パーツに置き換わった少年だった。胸元からは、不安定な赤黒い熱線がのたうち回るように放射されている。その熱線の周囲には、光を吸い込むような不気味な黒い粒子が微かに帯びていた。


アベル。

かつてクロムの初期実験で暴走し、この廃棄されたタワーの闇に葬られた、もう一人の炉心移植者。

「殺して……くれ……。いや、生きたい、生きたいんだぁぁッ!」

アベルの虚ろな瞳から、血の涙が流れ落ちる。激痛と狂気に支配されたその頭上に浮かぶ生存時間は、不規則に明滅し、崩壊寸前であることを示していた。

アベルはレイの胸元に輝く青い光を目に留めた瞬間、その顔を激しく歪めた。

「お前……その心臓……。俺に、俺にそれをよこせええええッ!」


アベルが咆哮した。

その胸の炉心から、広範囲に向けて赤黒い熱線レーザーが放射される。極限の熱量が通路のコンクリートを瞬時に融解させ、どろどろとした溶岩のように変えていく。

「しまっ――!」

クレアの頭上から、融解した天井が崩れ落ちてくる。

「逃がすかよッ!」

ゲンが左腕一本で、近くに転がっていた巨大な鉄板を物理的に持ち上げ、クレアの前に立ち塞がった。C級の身体強化を極限まで駆動させ、鉄板を盾にして熱線を防ぐ。しかし、アベルの放つ熱線の威力は凄まじく、ゲンの防弾ベストと、盾にしている鉄板がじりじりと溶融し始めた。


「レイ! アベルの炉心はすでに自壊臨界に達しているわ! 正面から戦えば、このエリアごと吹き飛ぶ!」

クレアが悲鳴のような声を上げる。

レイは冷徹に状況を計算した。アベルは熱線の連発により、すでに内側から焼き切れようとしている。奴にこれ以上の出力を出させ、自滅へと追い込むのが最も合理的だ。

レイは右手を前に突き出し、アベルの座標に向けて不可視の重力場を展開した。

『重力崩壊(グラビティ・バースト)』。

しかし、アベルの体内から噴き出す赤黒い暴走エネルギーは、レイの展開した重力場を力任せに吹き飛ばし、その引力圏から強引に脱出した。

「無駄だ、無駄だぁぁッ!」

狂乱するアベルが、さらに出力を高めた熱線をレイに向けて掃射する。


(ならば――物理法則の優先順位を書き換えるまで)

レイは『空間歪曲』を起動した。アベルの眼前の空間質量を一時的に極大化させ、不可視の「重力レンズ」を作り出す。

直後、放たれた赤黒いレーザーが、歪んだ空間によって軌道を強制的に曲げられ、アベル自身の足元へと直撃した。

「がはっ!? あああッ!」

自身の熱線による大爆発に巻き込まれ、アベルの巨体がよろめく。


この一瞬の隙を、レイは見逃さなかった。

『空間歪曲跳躍(ショート・ワープ)』――発動。

レイの姿が黒い粒子の霧となってその場から掻き消える。しかし、ガントレットを失った肉体にかかる転移のGは凄絶だった。レイの体内の毛細血管が次々と破裂し、全身の皮膚からじわりと赤い血が噴き出し、ボロボロのコートを赤く染めていく。

それでも、レイはアベルの死角である真後ろへと音もなく再具現化した。


だが、アベルは野生的な直感でその気配を察知していた。

「後ろかぁぁッ!」

アベルが異様な速度で振り返り、その黒い機械腕がレイの首をがっしりと掴み上げた。機械の指先から、肺を焦がすほどの高熱のエーテルがレイの喉元へと直接流し込まれる。

「ごふっ……!」

喉が焼け焦げるような金属の味が口内に広がり、意識が遠のきかける。胸のアポカリプス・コアが、限界を超えた過熱によって悲鳴を上げていた。


(ここで、終わるわけにはいかない。暦との、あの約束を果たすまでは……)

レイは『炉心同調呼吸法・零式』を起動し、喉を焼く劇痛を脳内で強引に遮断した。漆黒に変質した右腕に、自身の全重力エネルギーを集中させる。

『重力拳(グラビティ・ナックル)』。

レイの拳が、アベルの黒い機械腕の関節部へと叩きつけられた。青白い重力の衝撃波が、アベルの外装をすり抜け、内部のギアとエーテル伝導経路をピンポイントで粉砕する。

「が、あああッ!? 俺の、腕が、動かない……!」

アベルの機械腕が火花を散らして脱落し、レイは地面へと着地した。


「レイ、今よ! ロックを解除したわ!」

クレアが限界の演算の末に、保管庫の制御盤のハッキングを完了させた。

重々しい金属音と共に、第一世代炉心保管庫の隔壁がスライドし、その中心で青白く輝く「第一世代炉心冷却チップ」が姿を現す。


しかし、勝利の予感に浸る時間は与えられなかった。

激しい戦闘の衝撃、そしてアベルの放った熱線と重力崩壊の余波により、タワーの最下層を支えていた重力制御アンカーが、ついに限界を迎えて激しく破裂した。

キィィィン――という耳を劈く金属音が、タワー全体から響き渡る。


「……嘘でしょう。タワーの構造維持システムが、完全に崩壊したわ」

クレアの電脳ゴーグルに、無数の赤い警告アラートが点滅する。

足元の床が、バリバリと不気味なひび割れを始め、タワー全体が轟音を立てて傾きだした。彼らのすぐ下には、灰となった死者たちが捨てられる、底なしの暗黒の縦穴「深度9」が口を開けて待っている。


「全員、俺の近くに寄れ!」

レイの声が、崩落する廃墟の轟音の中に響き渡った。

HẾT CHƯƠNG

Chưa có bình luận nào. Hãy là người đầu tiên!