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真実の吐露、失墜する巨頭

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その瞬間、バルトロの胸元から、不気味で鋭い銀色の光が、まるで心臓から噴き出すかのように立ち上った。


「ぐ、あああああッ!」


仕立て屋ギルドの長であるバルトロは、突如として奇声を上げ、自身の胸を両手で掻きむしった。彼の肥満体が激しく痙攣し、その上品な長袍の右ポケットから、ソウタが密かに忍ばせておいた一枚のハンカチが滑り落ちる。ハンカチの裏地に施された、極細の星霜草の糸による幾何学的な「針紋」が、バルトロの心臓の鼓動と完全に同調し、目に見えない銀色の光糸となって彼の喉元へと巻き付いていた。


ソウタが左手の指先で弾いた「因果の結び目(ノット)」が、バルトロの精神に直接、強制自白の術式を流し込んだのだ。


「バルトロ殿!? 一体どうしたのだ!」


ハリス徴税官が不審に眉をひそめ、警告の赤色光を放つ魔導ランタンをバルトロへと向けた。しかし、バルトロの口から飛び出したのは、ハリスの期待していた大逆の告発ではなく、あまりにも醜悪な「真実」の絶叫だった。


「私がやった! 私がやったのだ! その極光の魔力糸は、私が昨夜、裏市場の密輸商から大金で買い叩き、この盲目のゴミの引き出しに忍ばせたのだ! ハリス様、あなたに三百枚の星霊銀貨を握らせて、今日の家宅捜索を仕組んだのもすべて私だ!」


「な、何だと……!?」


ハリスの顔が、一瞬にして土気色に変わった。工房を取り囲む衛兵たちや、壊れた扉の外から息を殺して様子を伺っていたスラムの平民たちの間に、嵐のようなざわめきが広がる。


「黙れ、バルトロ! 狂ったか!」


ハリスが激昂し、魔導ランタンの光でバルトロを威圧しようとした。しかし、バルトロの喉に巻き付いた因果の糸は、彼の意志を完全に支配していた。バルトロは涙とヨダレを流しながら、自身の意思に反して、さらに大きな声で汚職の全貌を叫び続ける。


「黙れない! 口が勝手に動くのだ! この盲目のソウタが、ギルドを通さずに安くて暖かい防寒着をスラムの連中に配り始めたせいで、我々が独占していた辺境絹の市場が崩壊しかけている! このままでは上納金が減り、領主アルフレッド様からの信用を失ってしまう! だから、こいつの両手を切り落とし、病気の妹を神殿の生贄に送ることで、スラムの連中に見せしめをしてやろうと思ったのだ!」


「この、愚か者が……!」


ハリスの心音が、激しい怒りと焦燥によって、かつてないほど乱れ打っていた。ハリスにとって、平民から魔力を搾取し、裏で賄賂を受け取ること自体は日常茶飯事である。だが、それを神殿の威光を背負う自身の目の前で、しかもこれほど多くの平民たちの前で大声で暴露されることは、絶対的な秩序を重んじる占星神殿に対する致命的な反逆行為に等しかった。


このままでは、ハリス自身の立場が危うい。


「衛兵! この男の星図をスキャンしろ! 魔力の暴走、あるいは星図の汚染だ!」


ハリスの命令により、一人の衛兵が「星図測定盤(ステラ・マトリクス)」の杖をバルトロの背中に向けた。投影されたバルトロの「五等星」の星図は、ソウタが仕掛けた幾何学的なバグによって、銀色の線が狂ったように明滅し、幾何学的な対称性を完全に失って崩壊していた。


「星図の汚染が確認されました! 魔力循環が完全にバグを起こしています!」


「やはりな!」ハリスは冷酷な声を響かせ、自身の身の潔白を証明するかのように、バルトロを指し示した。「仕立て屋ギルド長バルトロは、不浄な魔力汚染により精神を失調し、神殿と領主軍に対する虚偽の告発を行った! この男の発言はすべて狂人の妄言である! 直ちに拘束し、領主館の霜天牢へ連行しろ!」


「待ってくれ、ハリス様! 私は本当のことを――ぐふっ!」


バルトロは衛兵たちに組み伏せられ、口を塞がれたまま、引きずり出されていった。ギルドの巨頭として君臨していた男の、あまりにも無惨な失墜の瞬間だった。


その騒動の最中、ソウタは静かに動いた。


(今だ)


右手の親指と人差し指は完全に氷結し、感覚を失っている。ソウタは左手の指先を伸ばし、床に落ちていたバルトロのハンカチへと触れた。指先から微細な無宿命の魔力を通し、ハンカチの裏地に施された「針紋」の基点となる一本の糸(素糸)を捉える。


シュル、と軽い音を立てて、ハンカチに刻まれていた美しい幾何学模様が、ただの一本の解けた糸へと戻っていく。ソウタはその糸と普通の布切れを素早く自身の袖の中に回収した。これで、神殿の魔力センサーがどれほど厳密に捜査を行おうとも、この場に「違法な刺繍魔術」が使われた証拠は、物理的に一切残らない。


バルトロが連行され、静まり返った工房内に、ハリスの重い足音が響いた。


コツ、コツ、と凍った床板を踏みしめ、ハリスはソウタの目の前で足を止めた。ハリスの手にある魔導ランタンは、未だに警告の赤色光を放ち、ソウタの白い目隠しを不気味に照らしている。


「平民ソウタ」ハリスの声は、地を這うように低かった。「お前の店から発見された極光の魔力糸は、バルトロが捏造した物証として没収する。お前に対する違法刺繍の容疑は、一時的に保留とする。店は無罪放免だ」


「……神殿の公平なるお裁きに、心より感謝いたします、ハリス様」


ソウタは完璧な「平民の礼」を行い、ただの盲目の犠牲者を演じきった。しかし、ハリスは去ろうとしなかった。彼は魔導ランタンをソウタの顔の前に掲げ、その目隠しの奥にある「空白」を覗き込むようにして、至近距離から冷たい息を吐きかけた。


「平民ソウタ。お前の背中を見せろ。神殿の記録に間違いがないか、私のスキャナーで検分する」


緊迫した空気が、工房内を再び凍りつかせる。ソウタは静かに上着を脱ぎ、自身の背中をハリスに向けた。ソウタの背中には、生まれつき星図が一切存在しない「無宿命体(ボイド)」の完全な空白の皮膚が広がっている。しかし、ソウタが着用している衣服の内側には、自身の魔力波形を「凡庸な平民(五等星)」に見せかけるための「運命の偽造」の術式が、極細の金属線によって事前に施されていた。


ハリスがスキャナーの杖をソウタの背中に向ける。測定盤から放たれた青い光がソウタの背中をなぞり、投影されたのは、どこにでもある退屈で単純な「五等星」のダミーデータだった。


「……フン、ただの無能な平民か」


ハリスはスキャナーを収めた。しかし、彼の心音は、未だにソウタに対する「解けない不審」を刻んでいた。ハリスは去り際、ソウタの耳元で、ナイフのように鋭く、冷たい囁きを残した。


「盲目の仕立て屋よ。お前の周囲の因果、あまりにも綺麗に回りすぎているな……。私の目を欺けると思うなよ」


ハリスは衛兵たちを率い、破壊された星霜庵の扉から去っていった。その冷たい背中を見送りながら、ソウタは袖の中で、完全に感覚を失った右手の二本の指をそっと握りしめた。一時的な勝利の代償として、彼の右手の星氷化は、確実に、そして不可逆的にその領域を広げていた。

HẾT CHƯƠNG

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